未だに「ミュウツーの逆襲」規模のヒットが出てこない米国における邦画事情。
そんな中ですが、1970年台のとあるアニメ映画をわざわざ修復して、全米各地で公開するという試みが行われているのはご存知でしょうか。
その映画とは「哀しみのベラドンナ」。
該当記事↓
アートアニメ「哀しみのベラドンナ」が4Kレストア版で米劇場初公開
北米版ポスター。いいね。
日本での公開は1973年。
虫プロダクションが大人向けアニメとして展開した『アニメラマ』シリーズの中の一作品です。
今回こんな古い作品を、アメリカでわざわざ4K版を用意してまで上映するわけですが、本作を知っている身からすると『非常にうらやましい』話です。日本でこそ、知る人ぞ知る映画止まりとなってますが、個人的にはぜひこの大傑作を多くの人に知ってもらいたいという名作映画だと思っております。
この映画がどうすごいのか。
まず
子供が見れない。
完全に大人向けなので容赦無い大人向けストーリー。
新婚ホヤホヤの主人公ジャンヌが、教皇によって強姦されるというところから物語が始まるので、まるっきり子供に見せることを考えていないストーリーとなっています。その後もやたらと肉体関係に関するエピソードや描写が挟まれるので、ここだけ乗り越えれば子供も楽しめますよ、って作品でもありません。
当時はR指定を受けた作品だったのかな?と思いきや、日本のレイティングシステムは1976年開始なので、今作はそういった審査が始まる前の作品だということも面白いです。当時、子供も見に行ったりしたのかな・・・これ・・・。
そして
すごいのはそこだけじゃない。
この映画、
とても画が綺麗。
度々アート映画と称されたりもしますが、本当に1シーン1シーンが絵画のようで非常に美しいです。
ストーリーがストーリーなだけに、この映画がもし実写であればもっと生々しくなると思うのですが、アニメーションになっているおかげでか生々しさどころか、非常に芸術的だし気品に溢れる作品に昇華されています。何十年も前の作品ですが、今見ても古臭さを払拭してしまう美しさです。
特に水彩画が好きな人にはおすすめです。
そしてなによりストーリー自体も非常に面白く、ベラドンナのリベンジマッチと思うとさり気に熱い映画でもあったりします。
題材が中世のフランスを舞台にしているので、知らずに見ると欧州映画と勘違いするひとも出てくると思うのですが、本作をれっきとした日本アニメ映画ですので、是非知らなかった人は覚えておいて欲しいな、と思います。
今回の北米上映のおかげか、北米では、日本ですら出ていないブルーレイ版も発売。ずるい!!
海外サイトの選んだ見るべき日本のクレイジーな映画TOP10にもランクイン。数多のクセのある作品の中の一つに数えられています。(クレイジーて・・・まぁ分かるけどちょっとマイナスにも感じる表現だよな。)
こうして何年も前の日本アニメ映画が今、海外でピックアップされてるのってすごく嬉しいし、自分の好きな作品であれば尚更でございます。
今こそ日本人の皆さんにも、「哀しみのベラドンンナ」を再評価していただきたいのです。認知度をどんどん上げていきたいですね!
大人向けなのでTSUTAYAのアニメコーナーとかに安易に置けないのが、仇ですが是非、まだ見たことがない人は、この作品を見てみて下さい。
Ost: Belladonna [12 inch Analog]
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