アニメ映画の感想ががっつり溜まってますが、最新のこちらのレビューを。
ムーンライト
を見てきました。
公式サイト:http://moonlight-movie.jp/
今年のアカデミー賞にて、「ラ・ラ・ランド」を下して作品賞を受賞した映画です。
基本ネタバレなしでこのブログでは感想をお送りしてますが、『同性愛』に関する内容が盛り込まれている映画だということは一応事前に知っておいた方がいいことだと思うので、その点には普通に突っ込んで話ちゃってます。あらかじめご了承下さいませ。
観てきた感想をざっくり一言で言えば
うーん・・・悪くはない
という煮え切らない気持ちになってしまった感じ。
もうちょっと詳しい感想を書いていきます。
●描かれる世界はすっごくミニマム
本作は、黒人+ゲイ+貧困という立場におかれたシャロンくんの姿を、少年、青年、成人の3パートに分けて描いた映画となっています。アカデミー賞作品賞を受賞した昨年の「スポットライト」なんかと比べると、シャロンくん周りのエピソードのみに集中した物語なのでスケールが非常に小さく感じられるうえ、日本人にとっては本当に見慣れない馴染みのない世界での物語となっています。麻薬のディーラーが居る危険地帯とか言われても、親近感がなさすぎて、結局は海の向こうの話なんだな、と感じざるを得ないのがちょっと悲しいところでした。
ただ、逆にこの日本に住んでいる限りは絶対交わることのない世界を2時間弱かけて体験できるのもこれはこれで貴重。同じ“人”でも、住む世界によって、こんな全然違う世界に居るのか!という体験はやはり映画だからこそできたことにも思います。
また、この映画は全体的に小さく静かで寡黙な物語。そのおかげで抗えないほどの世界の大きさを感じるとともに、劇中で起こるわずかな幸せな出来事に感動を感じられるような映画でした。そういう感動が知らない世界の人の物語でも起こり得ることなのだ、とも学べたことは大きかったです。
ピンと来る人にはミニシアター系の映画って言えば分かる。
●恋愛映画なのだけどアガらない!問題
個人的には本作は私の中で『恋愛映画』にカテゴライズされる映画だと思っています。というかそう思った方が飲み込みやすい映画だと思うのですよね。
ただし
前述のように本作、同性愛の内容が含まれており、同性愛に厳しい中国で公開されるかどうかが話題にもなっていたりする一作です。この“同性愛物”ってところが曲者でした。「たまこラブストーリー」や「心が叫びたがってるんだ。」など、恋愛物が大好きな私にとっては、気持ちが高揚してもおかしくない作品だと思うのですが、意外や意外なことにこの映画で気持ちが高揚してもおかしくないシーンで、十分に高揚しないという事態を体験しました。シチュエーション的には十分、グッとくるセリフやシーンが用意されてたりするのですがびっくりするぐらいに、他人ごとに感じてしまう自分が居ました。実はこの感覚は、以前にも感じたことのあるものでして、同じく同性愛物のアニメ映画「同級生」を見た時も感じたものでした。どうも、私の恋愛映画観は異性間であることが絶対条件なようです。
そんな発見ができたことも、大きな体験だった映画でございました。
これって逆にシャロンくんが「たまこラブストーリー」や「心が叫びたがってるんだ」を見ても、きっとアガりきらない感覚に立たされてしまうのではないかと想像できます。そう思うと、恋愛映画って結構根本的なところで『合う』『合わない』の組み分けがされるのかもしれませんね。
それなりの「良かった良かった」の感情はあるものの、恋愛映画分の+αの感動がワタシにはない。
全体的にセリフが少なく、画で説明するシーンが多かったり、数少ないセリフも観客に分かりやすく意図を汲ませるようなものでもないので、はっきり言ってレベル高めの映画だと思います。ですが、そういう難しいことを考えずに、『黒人のゲイの少年の恋愛物語』と思って見に行けば、意外と感動的な映画として多くの人が楽しめる映画なのではないかと思いました。
好きか好きじゃないかでいえば、完全に組み分けで外されてしまった人間だと思っているので、『決して悪くない映画』ぐらいの評価が最善になってしまう気のする映画なのですが、そこに意義があるとも思った次第です。
「同級生 画帖」~アニメーション「同級生」ビジュアルブック~
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